大谷資料館
今回Resonance Zoneが上演されたのは栃木県宇都宮市大谷資料館採石場跡。
この日の坑内温度は8度前後で、まるで冷蔵庫の中にいるような体感温度でした。
資料館には当時採石に用いられた道具が展示されていたり、歴史の説明があり
積み重ねられた歴史の重みを体感できる場所で温度も相まって身も心も引き締まる思いでした。
坑内は「ピラミッドの中はきっとこんな感じなんだろう」と表現したくなるような様子で、地上との雰囲気の落差にとても驚きました。
- 入り口周辺の様子
- 資料館の展示物
- 坑内の様子
Live Report
- M01-エウロパの氷
- M02-メロディー
- M03-Little Wing
- M04-七つの夢(新曲)
静まりかえった坑内。ライブは定刻より少しだけ遅れて始まりました。アキノさんの登場で拍手が響き渡ります。
何重にも反響し、実際にご来場なさった数倍の人数がいるような錯覚に陥りました。拍手が落ち着く頃アキノさんが歌い出します。
ライブの一曲目は「エウロパの氷」。伴奏なし、マイクすら通さない"完全アカペラ"のアキノさんの声が幾度も反響を繰り返しとても重厚且つ繊細な響きを伴って心地よく鼓膜を揺らします。
まるで映画の中のワンシーンを見ているような気持ちになりました。
「メロディー」からは伴奏はピアノのみ。シンプルな照明の中、繊細な抑揚のピアノの伴奏が加わりさらに反響の厚みは増していきます。
本当に坑内の隅々まで届いては反響し経験した事の無い独特な音像だったように思います。
- M05-stone trio(新曲)
- M06-Licao do Vent
- M07-VOICES
- M08-Resonance Zone(即興)
アキノさんの紹介でギターの保刈さんヴァイオリンの藤堂さんがステージに上ります。5曲目「stone trio」は新曲でここのステージが初披露でした。
「ここの石たちにも曲を聞いてもらう」というとても印象的なMCから始まり、3拍子のリズムで「歌声」、「ピアノ」、「ギター」、「ヴァイオリン」の旋律がシンプルながらも複雑に絡み合い坑内を満たしていきます。
まるで音が楽しそうに坑内全体を跳ね回っているような曲でした。
6曲目「Licao do Vent」から今までシンプルな照明のみだったステージに映像演出が彩りを加えます。ステージを囲む3面の壁を最大限に使ってライブに視覚的な楽しみを加えていきます。
この曲では壁面にエジプトの壁画や象形文字が投射され曲の世界観がより濃く表現されていたように感じました。
ライブのタイトルにもなっている「Resonance Zone」は即興での演奏でした。保刈さんが作ったトラックに合わせ、
アキノさん曰く「本当の本当に即興」の演奏が繰り広げられます。演奏はどこか緊張感を帯びていながらも皆さんがとても自由に楽しんで演奏している様子が手に取るように伝わって来ました。
- M09-月からの祈りと共に
- M10-ルビーの月 ヒスイの海
- M11-Silent Stream
- M12-鏡の国
- M13-Haleakala
9曲目「月からの祈りと共に」はステージ壁面に月が映し出され曲が進むにつれ高く登っていく演出があり、曲のイメージをより鮮明に表現していました。
10曲目「ルビーの月 ヒスイの海」は前曲の演出で登っていた月が歌詞に合わせ赤く色を変え映し出されていました。この曲ではヴァイオリンの旋律が曲構成の大きな部分を
担っていてとても印象的なフレーズが多く耳を奪われました。
12曲目「鏡の国」では前奏のやわらかな高音のシーケンスが始まるとアキノさんがまるで踊っているように体全体でリズムをとりステージ上のボルテージが上がったように感じました。
壁面では曲の世界観をより強く表現するような鏡の映像が奥から手前に向かって来る映像が繰り返し映し出され、正面の壁だけではなく左右の壁も使い奥行きを持った映像演出がされていました。
- M14-Unknown Vision
- M15-Lost Area
- M16-美しい星
- M17-Sophia〜白の惑星
- EC01-虹
14曲目は「Unknown Vision」。音が幾重にも反響する会場の環境のせいなのかいつもと少しアレンジが違うように感じました。
曲の前半では尖った高音のシーケンスとヴァイオリンの強いストロークが印象的で、
後半では柔らかな低音とアキノさんの包み込むような声でとても穏やかな気持ちになった事を強く覚えています。
16曲目「美しい星」では壁面を惑星や流れる星、宇宙の映像が飾り、音と映像で曲の世界観に引き込まれました。
17曲目「Sophia〜白い惑星」、気がつけばあっという間に最後の曲になっていました。壁面に投射された雪の降る映像による演出が、坑内の温度も相まってリアルな質感を持っていたように感じました。
そしてこの日最後の曲はアンコールで演奏された「虹」。会場全体で合唱が起こり何度も何度も反響を繰り返し、まるで音が大きな渦を作っているようなエンディングでした。途中からアキノさんはピアノの伴奏もやめ、
マイクからも離れステージの中心に移動し会場の皆さん一人一人を見つめるように全体を見渡していました。そして一緒に歌う事を心から楽しんでいるようでした。
まとめ
アキノさんが言っていた「まさにResonance Zoneだなぁここ」という言葉に集約されるように音の反響がとても印象的な空間で、例えば聞き慣れた曲を聞いたとしても全く印象が違ったのではないかと思いました。 視覚的にも普段の生活の中では絶対に経験することが出来ない非日常的で神秘的な雰囲気を楽しむ事が出来たライブだったと思います。ただ坑内温度8℃という気温にだけはご注意を(笑)寒さに負けない厚着は必須です。 ご来場頂いた皆様本当にありがとうございました。